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留学の成果の80%は、
出発前にすでに
決まっています。

コロナによる国境封鎖もようやく解除され、今までお預けになっていた留学を真剣に検討できる世の中が戻ってきました。「オンライン修学旅行」なんて可哀想なことを聞くと、行ける時に行かせてあげたい、というのがやはり親心でしょうか。
 

​A子さんの留学談

​高校在学中に留学を考えているA子さんの家族では、「留学」「海外」「費用」「失敗」... キーワードを入れ替え並べ替え、たくさんネット検索を繰り返しました。

ネット検索が落ち着くと今度は、見つけたいくつかの良さそうな
留学代理店で無料相談をしました。

その中から価格もお手頃で信頼できそうな代理店が1つ見つかったので、一度みんなで家族会議を開き、そしてA子さんの留学がついに決まりました。留学生活を想像すると出発前からワクワクが止まりません。

渡航日が近付くにつれてソワソワし始めたA子さんは、出発前に少しでも準備しなきゃ、とご両親に頼んで近所の英会話学校にも入会しました。


さて、A子さんの留学はどんな結末を迎えたでしょうか?
結果は、悲惨なものになってしまいました


A子さんの留学を順を追って見ていきましょう。

 
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3. 留学生の壁

日本での勉強にある程度自信があったA子さんは、初めて学校の課題で大きな挫折を味わいます。

それでも留学生として1つ目の​レポートだから、と次の単元に切り替えるA子さん。そんなA子さんに次の壁が立ちはだかります。授業で躓いた内容を​取り返すチャンスが、見当たらないのです。

ネイティブのスピードで授業を受けていると、初見では分からない箇所の方が多いくらいなので、やっと先生に質問する勇気を振り絞っても、全部先生への質問で解決しようとすると終わりが見えません。だからといって、日本のように学校終わりに学習塾に助けを求めることもできません

 

「理系科目はだいたい海外より日本の方が進んでるらしいから、安心だね」と留学前に友達から言われましたが、蓋を開けてみると日本では聞いたこともないような​内容も出てきました。

 

例えば、次に出てきた数学の「統計学」の単元は日本よりはるかに進んでいて、新しい学習内容と英語のダブルパンチでA子さんは全く太刀打ちできませんでした。

​もう一つ気がかりなのは、留学生活に慣れてきたところでもう一度周りを見渡してみると、日本との文化の違いを差し引いても、どうもヒルズ高校はそこまで勉強に関心を持たない生徒の多く集まるレベルの高校のようです。

​これはA子さんが留学後に知ったことなのですが、どうやら海外の学校では日本で想像する以上に、学校で受けられる授業の質、補修などのサポートに、学校や通学エリアの間で大きく差が出てしまう様です。

話を聞いてA子さんは「留学前にもっと現地の高校について知っていれば、違う選択をしていたかもしれないのに。。」とヒルズ高校について振り返ります。

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1. ついに留学スタート

「ヒルズ高校」への留学をスタートした高校1年生のA子さん。

日本の高校に籍を置いたままの留学なので、期間として半年留学を選びました。

高校卒業後は国内大学進学を考えているので、「留学先で頑張ればAO入試でも良いアピールになるかもしれないね」と両親と話しながら準備をしてきました。

 

無事8時間のフライトを済ませ、現地エージェントの手配した車に乗って新天地に向かうA子さん。

はじめの1週間でヒルズ高校のオリエンテーションを済ませ、ホームステイにも落ち着いたA子さんは、先ずは留学生のためのベーシック英語教室(ESOLなどと呼ばれます)からスタートしました。

ESOLという教科では来たばかりの留学生が教室に集められ、日本での英会話学校の中・上級者コースレベルの内容を取り組みます。日本で前もって準備してきたA子さんにとっては、英語の訛りに少し苦戦しながらも、問題なくついていける内容です。

 

日本以外から留学してきたクラスメイトともインスタグラムで繋がりましたが、まだ会話をするのは恥ずかしいので、丁度クラスにいたもう1人の日本人留学生の子と、週末はシティまでショッピングに出かけました。気分はまさに海外旅行です。
 

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2. 現地組に合流

次の週、現地組の授業に合流したA子さん。ネイティブの英語が飛び交い、A子さんの思い描いていた風景が目の前に広がります。

しかし実際に授業に参加してみると、A子さんをショックが襲います。


授業の進み方が、日本とまるで違うのです。


A子さんが合流したタイミングから、数学では「関数とグラフ」の単元が始まり、今回提出するレポートの課題は
​「写真にあるジェットコースターに、あなたが1番フィットすると考える曲線の関数を取り上げて、その式と理由を書きなさい」


驚くことに、このレポートには1つだけの正答はありません。二次関数、サインコサイン何を持ってきても、英語を使って数学の先生を説得すればレポートは合格となるのです。

 

レクチャーでは今まで扱った関数とそのおさらいを簡単にして、すぐにグループで問題演習の時間に移ってしまいました。

​あまりにカルチャーショックを受けたA子さんは、先生に英語で質問する勇気も無く、解答欄に式だけ書いて提出。結局A子さんの解答はレポートとは見なされず、留学生として初めてのレポートは苦い記憶と​なりました。

4. 2学期目スタート

こうして留学の出だしの数歩を躓いてしまったA子さんは、留学生としての2学期目が始まる頃には、留学初日のあのワクワク感、やる気を徐々に失ってしまい、A子さんの頭の中では

「そもそもどうしてこんな大変な留学という道を選んだんだっけ?」

「せっかく海外に来てるんだから、もっと学校以外を楽しまなきゃ」

 

という考えが巡るようになってしまいました。

ホリデーには毎週ESOLで知り合った日本人留学生の友達と一緒に息抜きをして、学校に戻ると授業を聞き流す毎日が続きます。

こうしてA子さんの留学の中盤は、知らぬ間に過ぎ去っていきました。

5. 帰国1ヶ月前

久しぶりにカレンダーを確認して、A子さんは留学がすでに折り返し地点を回っていることに気づきます。

留学前に体験談としてよく聞いた、留学の中だるみを自分自身もおこしていると分かったA子さんは、来週からは真剣にやってみようと心を入れ替えます。

帰国後の入試対策を考えると、最低限の成績はとっておかないと、と思い、初心に返って勉強に取り組み始めたA子さん。

ここまで英語のシャワーを浴びてきたので、先生に授業の後に質問に行けるくらいには英語も上達しました。しかしここまでの長いブランクが、A子さんに重くのしかかります。今受けている授業の内容を理解するために、過去の単元に戻ってもう一度積み重ねを行わなければならないからです。

ESOLで知り合った留学生友達のインスタグラムを見ていたら、学校のクラブ活動でテニスをしたり、週末にはボランティアを行ったり、とても充実しているみたいです。

A子さんは「中学から続けているバレーの部活に参加したら、こっちでも活躍できるのかな?」と想像してみます。

せっかく留学に来ているんだから、もっといろんなアクティビティに参加できれば良かったのに、と後悔ばかり膨らみますが、この留学終盤のタイミングで、しかもテスト勉強以外に時間を割くことはなかなか難しそうです。

 

やっとのことで最後のテストを切り抜けたA子さん。

学校の友達とホームステイにお別れをして、家族の待つ日本へ帰ります。

6. 帰国後

​帰国後すでに一年が経ち、受験生と呼ばれる学年になったA子さんは、ご両親と一緒に留学経験を活かしたAO入試の準備に取りかかり始めました。A子さんの留学期間では帰国子女としての資格は無い為、A子さんにとっては一般入試かAO入試の二択です。

ネットで見つけた、留学関連で実績のあるAO入試のサポートエージェントに問い合わせをしてみましたが、返ってきた返事にA子さん家族は愕然としてしまいます。

「今のご時世、単に短期留学に行ったという事実だけでは、AO入試のアピールポイントとしては弱すぎるので、このままではA子さんの志望大学受験のサポートは難しいです」

どうやら入試改革が始まった頃は、AO・帰国子女入試枠が急に拡大したことによって、留学というアピールポイントだけで受かってしまうという時期がありました。しかし近年はAO・帰国子女の倍率も毎年大幅に上昇し、従って選考基準も年々厳しくなっているのが現状、ですのでAO入試ならば志望大学の変更が現実的です、とのことでした。

「留学前に知っていたら留学プランも変えられたかもしれないのに。。」

とA子さん家族は途方に暮れてしまいました。

A子さんの留学失敗談は決して誇張したものではありません。

むしろ、留学生の中にはこうした留学先でのハードルを乗り越えられず

・メンタル面での大きな傷

・止むを得ず途中帰国

​といった、より悲しい結末を迎えてしまうケースが多く存在するのが事実です。

その点に関しては、A子さんの留学は、最後までやりきって帰国している部分においては成功ケースと呼んでも良いかもしれません。

しかし、A子さんの留学がより良い体験に変えられるのは、誰の目に見ても明らかです。

A子さんの留学の失敗ポイントは、どこにあったのでしょうか?

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